”引き上げ”は、よく質問を頂くものの一つです。
その方の体によって答えはバラバラなのですが、ご質問の傾向というのがあります。
ネットで調べてみると同じような内容に出くわします。が、読んでみるといろんな角度で記述されているので・・・なんとなく、分かるような、分からないような・・・となってしまいます。ちょっとポイント別に整理してみたくなり、3つに分けてみました。
①”腰・背骨”に関するもの
②”肩甲骨”に関するもの
③文字通り”反重力”としての引き上げ の3つです。
さっそく①”腰・背骨”に関するものから。。
腰・背骨に関するものはある論点に行き当たります。それは・・・
-背骨は真っ直ぐか?S字か?- ネットで拾った内容をそれぞれ見てみましょう。
~”真っ直ぐ派”のメリット~
真っ直ぐな回転軸が出来る、出っ尻にならない、鼠蹊部が伸びる、
下腹が引き上がる(腹筋に力が入る)、骨盤を後傾させることで
背骨の引き合いが出来て引き上がる・・・
~ ”S字派”のメリット ~
脱力して立てる、下腹部にエネルギーが満ちているような充実感がある
意外にもS字派は”脱力して立てる”ことがメリットであり、あとは注意点になるようです。そして、注意点には”真っ直ぐ派”との共通点があります。
それは-出っ尻にならない、鼠蹊部伸びる、下腹に力が入る(腹筋ではない感じ)-
注意点が同じなのには驚きましたけど・・・注意点が同じでもやってることはまるで違います。(だから、よくわかんなくなるんでしょうか?)
結果的に出来上がった姿勢が全然違いますので、出来上がった姿勢からその違いを見てみましょう。
※注意点Ⅰ-出っ尻にならない-
”真っ直ぐ派”は尻は出ないですが恥骨が前に出ます。
”S字派”はちょっと出っ尻ですが恥骨が下を向いて隠れます。
”真っ直ぐ派”は骨盤が後傾して背中が広く胸が落ちます。
”S字派”は骨盤が前傾して背中が狭く胸が張ります。
極端な出っ尻はどちらの立場からもNGのようです。なぜでしょう?
そもそも出っ尻だと後ろ重心になり、ピルエットは後ろに落ちるわぁ、ルルベが低いわぁ、前に進まないわぁ。。。となってしまいます。
かといって”真っ直ぐ派”のように、出っ尻を負け犬のしっぽのように丸め込んで隠してしまっても、後ろ重心は変わりません。そうです、腰全体を前に持っていく必要があるんです。そのためにはヒップアップが必要なので、ちょっと出っ尻になるんです。
※注意点Ⅱ-鼠蹊部伸びる-
”真っ直ぐ派”は恥骨が出て鼠蹊部が伸びるので腰が引けて後ろ重心になります。
”S字派”は骨盤が前に押し出されて鼠蹊部が伸びるので腰が入って前重心になります。
”恥骨が出る”?”骨盤が前に押し出される”?これは、アンディオールが入るときの骨盤の動き方の差なのですが、アンディオールに入る瞬間、
”真っ直ぐ派”は蟹股から膝を伸ばして1番ポジションに入ります。
”S字派”は膝が真っ直ぐのまま1番ポジションに入ります。
”真っ直ぐ派”の「気を抜いたら膝が曲がる」原因はコレです。
蟹股で曲がった膝を不要な力で伸ばしてるわけですから、無駄な力を抜いたら自然と曲がってしまいます。
-背骨は真っ直ぐか?S字か?-
結局、よく使ってた左図のようなイメージです。
デフォルメされてますけど・・・
どうしても”S字派”寄りの記述になってしまいましたが、「体を壊さない!踊り方」が当スタジオのメインテーマなので悪しからず、ご容赦ください。
引き上げにおいて背骨はS字状のカーブになる!が結論です。