引き上げで必ず使う場所があります。下のイラストの赤く塗ってある部分です。
この部分が前に倒れることで
腰からの力が腰椎のアーチを伝って
デコルテラインを自然と持ち上げて、
胸を張るような姿勢が生まれます。
これが”8の字の力の流れ”となるわけですが、デコルテラインを押し上げた力は
背中に流れ、締まった背中へと作用して
きます。
・・・と細かく考えなくてもバレエであれば、後ろカンブレの時に自然と使っています。
後ろカンブレの初動で軽くうなづくような動作。。
その時にこの赤く塗ってある部分が前に倒れます。
背骨が首から腰まで瞬時につながるような感覚です。
でも、背骨の途中に力が抜けない所があると、首から腰までの背骨のつながりを感じることができない。そこで。
今回は、なるべく力が抜けるうつ伏せの姿勢からの引き上げアプローチとなるわけです。
まず事前の確認作業です。普通に楽に立った姿勢で足の裏にある体重の場所や足の裏の感覚を覚えておきましょう。では早速、うつ伏せになります。
①足は腰幅、両手を下げたうつ伏せの姿勢から手のひら下で両手を開いていきます。
②肘が床と接地して肘に重さがくるところまで開きます。
スーッと開いていって止まる所です。二段階で開いたりもぞもぞしたりすると肩が上がったり、肩に力が入ったりしてしまうので1回の動作で行います。
③膝を曲げて母指球と踵をくっ付けます。
この踵は後で錘として使いますので、力を抜いてぶら下げるようにイメージしてくださ
い。肘も少し曲げて手首の小指側が床としっかり接地するようにします。
④肘の踏ん張りを感じながら、下腹部の面(イラストの赤い三角形の部分)を床に押し付
けるようにします。この時最初のイラストの赤い背骨が前に倒れます。
腰の付け根が締まるような感覚になります。恥骨が突していて下腹部がうまく接地しな
い方は最初のうつ伏せの姿勢を工夫してやり直してください。
⑤そこから片足ずつ膝で鼠蹊部の表面を伸ばすようにします。
表面の皮を引き伸ばす感じ。この時肘が少し浮き気味になればいい感じです。
1~2cm肘を引き寄せてしっかり地面に接地するようにします。
⑥ここから腰の付け根の締まった感じと踵とのつながりを感じながら、膝をゆっくり伸ばしていきます。母指球は離れてもいいので踵はしっかりくっ付けておきましょう。
腰の付け根に入っていた力が踵が遠ざかるにつれて背骨を伝ってドンドン上に力が移動していくのを感じます。踵の重さを使うことで力が上に引き上がっていきます。
うまく踵と背骨が連動すれば、肘がまた浮き気味になります。肘を引き付けて床との接地感を保ちましょう。慣れてくれば、踵を遠ざけながら・・・肘を引き寄せながら・・・という作業になります。
※ここまでが基本的な動きです。さらに上まで引き上げを持っていくために。。。
以下の動きを追加します。
⑦床まで足が降りたら、③に戻ります。
今度は膝を曲げたまま踵を離します。膝を支点に脛が逆ㇵの字になるイメージ。
力を抜いてブラリと止まる所までです。
そこから踵の位置を動かさずに⑤の作業の後、改めて踵をくっ付けます。
カエル足になる感じです。
あとの動きは同じです。⑥の踵を遠ざけながら・・・肘を引き寄せながら・・・
この段階にくると背骨を伝っていく力が格段に大きくなります。
肋骨の辺りになってくると力の伝達が解りづらくなるかもしれません。
そこには肩甲骨を上手く合わせる必要が出てくるのですが、それはまた機会を改めます。
最後に、立ち上がって足の裏の体重が乗っている位置を再確認してみてください。
内側に体重が移動してきていればその分、引き上がった証拠です。
腕肩周りもその分軽くなって動きやすくなっています。
ここで、引き上げ””と”引き上がり”の違いを感じていただければこの上ないんですが・・
いかがでしょう?
①~⑦の作業は”引き上げで”、その結果が”引き上がり”です。
特に運動する方は、脱力した状態で引き上がっている(引き上がりが)必要があります。
バレエだったらバーレッスンが引き上げになるはず。
ですから、バーレッスン終わったら汗だくです、っていうのはちょっとおかしい。
バーも後半になるにつれて”引き上がり”が体の中に入ってきて、力が抜けていくのを意識されるといいのではないでしょうか?意識がないと体って変わってきませんから。。