”背中から腕を使う”でしばらく書いてきましたが、その前段として必要な”肩甲骨から腕を使う”の話をしてみます。”肩甲骨から腕を使う”ためには”小指を使う”必要があることは前回少し触れましたが、ここでは”アームスの使い方”として説明してみたいと思います。
アームスの角度、というか使えるアームスの位置取りはみんな個々に違ってきます。
”使えるアームス”というのは取りも直さず”肋骨のバネが使えるアームス”ということになるのですが、個々に位置取りが違うのはなぜでしょう?それは”肋骨の形”が人それぞれ違うからなのですが、その話は後述します。
まず、アームスについてよく耳にする”脇の空気のボール”。
これ、どれくらい体感できていますか?
本当に腕がポーンポーンと跳ね返されるような感覚になるのですがいかがでしょう?
整体的な説明は省きますが、”脇の空気のボール”=”肋骨のバネ=腰のバネ”です。
そしてこの(腰からの8の字の流れの)助けがあるから肩の力が抜けるのです。
ここまでのキーワードで「あっ、そうそう、そんな感じ!」と思われる方は指の使い方を以下に明記しますので、その日のコンディション確認にお役立てください。
引き上げるための初動としてアンバ→アンナバン→アラセゴン→アンバとやると思うのですが、その中での指の使い方です。
①アンバ→アンナバンまでは、小指で~肩甲骨の外側のラインを引くように使い、
②アンナバン→アラセゴンまでは、小指を軸に親指で大胸筋を伸ばすように使い、
③アラセゴン→アンバンは中指~肩を引きながら手のひらを下向きに降ろしていき、
④止まった所で肘から先の力を抜いて指先合わせるように閉じてくる。
この④の止まった所が”脇の空気のボール”=”肋骨のバネ=腰のバネ”です。
「今日は右(または左)のアームスが使えてない」という悩みの原因のほとんどは、背骨の連動がない場合ですので、アンバからスタートせずに、”気を付け”の姿勢からスタート
されると解消できると思います。
ここから先の説明はアームスで肩に力が入ってしまう(力が抜けない)人のためのものです。ようやく本題ですね。
肩に力が入る原因は”脇の空気のボール”の支えがないということです。
アンバのポジションへの入り方で説明します。大まかな順番としては・・・
①肩の力を抜きます
②脇の空気のボール(肋骨のバネ)にアームスを乗せます
③肩の力が抜けたままになる といった順番です。
まず、①肩の力の抜き方から始めます。
”気を付け”の姿勢から手のひらを後ろに向け中指で肩の付け根の真ん中を引きます。
中指を伸ばしていくと反ってくるような感覚です。
これで肩の力が抜けて肩が下がります(同時に腰の力も反応するのですがいかがで
しょう?この肩・腰の連動が感じられない方は腹筋を固めすぎている可能性が高いで
す。特に鳩尾の力は絶対に抜いてください)
では肩の付け根の真ん中?・・・この辺を詳しく説明してみます。
肩の筋肉をハート型でイメージしてみます。
中指で引く肩の位置はハート型の上のくびれの部分です。このすぐ上には肩の骨があります。
肩の骨のイメージをハート型にかぶせてみました。
そうするとハートのくびれた部分と骨との間は隙間が空きますよね。
そうです、隙間が空くように中指を引くイメージです。
肩全体を下げようとすると結局肩に力が入ってしまいます。
中指で肩を引くことで肩の力が抜けて肩が下がります。
続いて・・・
中指を遠く伸ばし続け、止まる所まで腕を前に上げていきます。45度から90度までの間で止まります。あれ?・・止まらずアンオまで行きます?
・・・というか、アームスを肩の筋肉で使っていらっしゃる方は止まりません。
ここが答えのすべてなのですが、背骨の連動がないんです。
つまり、腰が抜けている(恥骨が前に出ている方が多い)んです。
(腹筋に力が入るから腰が抜けるんですけど・・コレ、なかなか伝わらない・・)
腰が抜けていなければ、前述のように”中指を遠く伸ばし続け、腕を前に上げていきます”と腰の骨に下から順番に力が入ってくるんです。
そして背骨の動きがない、硬い処で腕が止まります。
この止まる所には、個人差やその日のコンディションの違いが出ます。
バーレッスンの間にも変わっていきます。
”腕を上げていくその角度によって腰の骨に下から力が入ってくる”
まずは、この感覚です。
あとは、前述の指の使い方に気を留めながら①~④をやってみるとよろしいでしょう。
でも今度は、④で腕が止まらない!がでてきますね。
ではなぜ、手が止まらずに降りてしまうのでしょうか?
それは腕を下ろす角度が違うんです。
腕の着地地点は肋骨の真横です。
腕が止まらない人は腕を肋骨の真横より前側に降ろしてしまうんです、力が逃げてるから止まらないんです。
以下に図説します。
正常な肋骨を横から見た図です。
左側側面から見たイメージです。
肋骨の真横とはどこでしょう?
肋骨の一番外に張り出したラインをつなぐと赤い破線の矢印のようになります。ほぼ垂直なので腕が自然と重力に従って落ちるラインと合致します。ところが・・・腕が止まらない人の場合は様子が変わってきます。
腕が止まらない人の肋骨は概ね左図のような形になっています。
前の肋骨が落ちて背骨が丸くなり、背中が開いてる状況です。
この時の肋骨の真横はどこでしょう?
(「福島さん、私の肋骨はこんなじゃありません(:_;)」
「…(^^;)」)
肋骨の一番外に張り出したラインをつなぐと
赤い破線の矢印のようになります。そうです。このラインで腕を下ろしていけば腕は止まって”脇の空気のボール”が感じられるのです。
ですが実際は・・・
実際は重力なりに真下(黒い矢印)に降ろしてしまうので、肋骨の前面を滑ってしまいます。
では,どうやって肋骨の真横のラインを探すか?というところですが中指です。
中指で肩が引けるところを探すと自然とこのラインがわかります。
肋骨が落ちてるこの場合の肩のイメージをハート型で表してみると…
こんな感じです。
肩の骨の前方側にクビレがあり、しかも肩の骨との間の隙間がわかりにくくなっています。
ハートの形もやや縦長になるのも特徴です。
クビレからハートの先端までのラインは上図の赤い破線矢印と合致します。
最後に中指で肩を引くコツを。
中指の背とハートのくびれの位置との角度をぴったり合わせることです。この場合ですと手のひらが少し後ろ向きになります。
つまり、肘が後ろを向きます。これもよく聞くキーワードですよね。
逆に肘の下がりが気になる方も、中指を引きながら手のひらでハートのクビレに角度を合わせると肘も必要なだけ後ろを向いてくれます。
肩と腕を繋がないまま肘だけ後ろを向けても、それは体と繋がってないのでまた下がってくるということです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。