バレエの美しい手・・とは、どういうものなのでしょう?
それは美しく見える手の形・・というよりは、美しく見える(踊りの)手の形。ということになるんだと思います。
つまり、踊り(の線)が指先にまで伝わった結果が”手の形”として出てきます。
ですから、手の形だけ真似ても美しい踊りにはならない。。という誰もが思い当たる結論になるでしょうし、更に美しい手の形を細かく見れば実に様々な癖があり、真似るに容易でないことも見えてきます。
詰まるところ、指先まで気が通っていればその人なりの美しい手の形になる、先ずはそう考えましょう。。では、どうすれば気が通るの?・・となりますが。。
例えば・・
踊る(部屋の)空間隅々まで意識を持っていけば、指先まで気が通るでしょう。。
背中と腕をつないで、手の甲~爪を意識すればそれでも指先まで気は通るでしょう。。
意識だけで指先が使える方々にはきっと、このくらいの説明で事足りることでしょう。
さて、当スタジオにお見えいただく方々のご質問でよく耳にするのが「手の親指、しまえ!って言われるんです」というもの。。
イイですね、やっと本題に入れる気がします。
手の形として推奨しているのがこの形。。
手の指と身体とのつながりを考えたときに機能的だと思われる形です。
少し細かく見ていきます。
親指は…出てますね。
これは親指の手のひら側の付け根に張りを持たせたいからなんです。
実はここは大胸筋との繋がりを感じてほしい場所。ココが張っていれば大胸筋に張りが出る。。逆にしぼんでしまうと大胸筋も落ちてくる、、と同時に首に力が入る ⇒ 肩が上がってくる。
人差し指は…中指の後ろに少し引っ掛けています。
これは親指の付け根の皮が張るのを助けると同時に、手のひらの真ん中に窪みを作る働きをします。さて、この窪みはどことつながるでしょう?。。。脇の下の空間と繋がります。ここの窪みを見れば脇を強く使えているかどうかが判ります。
中指は…腕と肩の境目と繋がります。
腕を長く!となれば中指を引っ張ってみるのが得策でしょう。
小指は…肘や肩甲骨の外側と繋がってきます。
アンバ~アンナバ~アンオでは、小指の延長線が繋がる(ぶつかる)ように意識されると、肩甲骨が自然に使えると思います。
以上の点を踏まえて親指をしまっていただけばいいわけなのですが、無造作に折り曲げてしまうと・・・
親指の付け根の張りが消えて、手のひらの窪みも消える.
つまり、・大胸筋や脇が使えなくなってしまいます。。というとこの形に縛られてしまいがちなので・・ここで問題です。例えば♪この指の使い方は如何でしょうか?
上と同じように見ていきます。
親指は…出ていて、付け根に張りを持たせています。
人差し指は…かなり反らせて・・(親指も反ってますが・・)
中指は…手のひらの真ん中の窪みを作るかのように曲がっています。
この親指・人差し指・中指を見ると、大胸筋の張りと脇の力に特化した使い方だと言えます。でもこういう風に特化した使い方をすると歪みが出てくるのが常で・・・この場合、それが小指に出ています。
小指は…肘を外に向けるために下向きにぶら下がっています。
この場合、小指は肩甲骨の外側というよりは肘と繋がっているので、肩甲骨の外側と繋がっている人に比べて、例えばピルエット時のアンナバの高さが若干低い位置に構えるようになるのではないでしょうか。。
このように”その人なりの美しい手の形” があるので、一つの形に縛られて欲しくないんです。例えばアンオできれいな背中や胸の曲線が欲しいのであれば、小指は肘ではなく、肩甲骨の外側と繋ぐ必要が出てくるでしょうし・・・
そうそう、この親指の第一関節の反り!
これをキープしたまま親指をしまえれば、ほぼほぼ間違いはないかと思います。