アン・バの手は”肘を外・手のひら上”にすることによって、それぞれ肩甲骨・大胸筋と繋がるので胸(デコルテライン)が張る、という記事を以前挙げましたが、アン・オになるとそっくり返って背中を潰してしまう・・・
それは結局、肩甲骨が使えずに肩首の筋肉でアームスを使っているから。。。
そこで、もう一つ手前に戻ってみます。それが今回の話。
一旦、バレエのポジションは捨てて”腕を上げる”という運動を見ていきます。
先ず「気をつけ」の姿勢から腕を前に上げていきます。
でも、背中を使っていきたいので手の甲を前に向けた状態からスタート
(肘が外を向いて肩甲骨と繋がるので背中が使えます、くどいかな?)。
そのまま頭上に手を上げていきます。
さて、-体の中はどのように使われましたか?-
というのが今回の話の概要です。
まず”手を上げる”という運動を分解してみます。
腕を水平位置まで上げる動作では肩の筋肉を使っています。
そこから頭上に上げる動作では背中の引込によって腕が上がります、というのが正しい使い方、というか感じ方。
この背中の引込が無いと腕は途中で止まってしまいます。それでもそっくり返って、あばらを開いて(背中を潰して)首肩の筋力で腕を上げようとするのが間違ったアン・オ。
そもそも肩の筋肉はすぐ限界に来るので首の筋肉も参加して・・・結果、肩が上がる、となりがち。
バレエを続けていく中で肩が痛くて上がらなくなった、なんていうのは首肩の筋力で作ったアームスのまま着地するからです、ほぼ。
アームスのポジション作って頑張ってる所に着地の衝撃が来るんです。。。それは痛めますよ、いずれ。
”背中から腕を使う”と一概に言いますが、例えばアン・オの時の背中の使い方はこの”背中の引込”。と言っても意識的にココに力を入れるわけではないです。
腕を上げる角度になった時に自動的に背中側にスイッチする。つまり体が勝手にやってくれる、そういう無意識な運動系なんです。整体の施術ではこういうところを狙っていきます。
さて、背中の引込で腕が上がる感覚を感じられた方は、アン・オのポジションでもそれがあるかどうかを確認してみられると、アンディオールが出来ているのかどうかの確認にもなります。
ここからは、腕を上げるのに背中の引込が感じられない(首肩が痛くなる)方。。のためにアドバイスさせていただきます。この引込の原動力は、コチラです。
コチラがキュッと締まることに連動して背中の引込が生まれます(左図)。
ということは(中図)のような真っ直ぐ腰では”背中の引込”で腕が上がるということは無い、腰がキュッとなることが出来ないので。
この(中図)からアン・オのポジションに入ると上体がそっくり返って背中を潰してしまう、結果あばらも開いてしまいます。程度の差はありますが、これも出っ尻の類なんです。
具体的に体の使い方をみると、背中の真ん中と首の付根がキュッとなってしまう。
それは、お顔がカクっと上を向いてしまうことでわかります(右図)。
後ろカンブレなんか特にそうですね。これも無意識な運動系・・
アームスで首肩が痛くなる方は”肘を外・手のひら上”・・・という以前に腕を上げるという運動に難がある。
それと、腰がキュッとしても背中の引込が無い。。という方は肩甲骨が開いているからです。開いた肩甲骨に合わせて腕も開く必要があります。
肩の力を抜きながら腕を”Yの字”に開きながら上げていく感じです。
腰をキュッと?腕が”Yの字”?何ですか、それ?って言いたくなりますが、でも出来ないわけないんです。というよりバレエのポジションに入ったとたんに出来なくなる、と言った方が正しいでしょうか。
例えば机に向かって疲れてあくびしながら背伸びをする時、腕は”Yの字”になって腰もキュッとなってるんです!その瞬間、上手いですね!って言ってくれる人いませんよね、それぐらい当たり前にやってるんです。
その時に肘が曲がる方は、大胸筋の委縮があるんですが・・・
他にも、いよいよ肩甲骨が開いてくると”Yの字”の背伸びはしなくなるかもしれません。そういう方は恐らく・・・後ろ手に組んで胸張りながら伸び~でしょうか?
でもそれも腰をキュッとして背中を引き込んでいます。背伸びの仕方も様々ですが、それも無意識な運動系で(`・ω・´)クドイゾ・・す。。もとい。。。
腕を上げる運動が上手くいっていれば踵から母指球へと重心が移動します。それがもっと移動すれば踵の重さが無くなってルルベアップになります。ふくらはぎじゃなくて、重心移動で上がるルルベアップです。ついでに・・
腕を上げる運動を6番じゃなく、足を腰幅くらいに開いたところから始めたらどうなるでしょう?
母指球へと重心が移動して・・・踵の重さが抜けてくると・・・踵が内側に滑ってきて踵同士がくっ付こうとします。つまり、足全体でアンディオールする感じになります。
でも母指球へ移動する重心を指先で踏ん張ってしまうとこうはなりません。その指先の踏ん張りは余計な力として全身を固めてしまいます(屈筋群ですね)。
奇麗に立ててる方は、背中までアンディオールされてるかのような締まりを見せます。
つまり腕を上げる動作で、腰から背中までの引込がないとアンディオールもない。
ですから、爪先アンディオールに揃えて・・指先の形に気を付けてアームスをセットして・・では肝心の腰・背中はお留守になっています。。
さて、今回の話を一言でまとめるとすれば ”全身で腕を使う” ということになりますね。