”引き上げ”について前回の続きです。今回は2回目”肩甲骨”に関するものです。
肩甲骨については全員一致の見解があるようです。それは”肩甲骨を下げる”こと。
逆に見解が分かれるのが”肩甲骨は近づけるか?離すか?”です。
まず全員一致の”肩甲骨を下げる”についてです。が、その下げ方が様々なようです。
①首と腹筋を引き上げて-肩甲骨を下げる
②首と背骨を引き下げることによって-肩甲骨が下がる
③脇を締めて小指に力が入るようにすれば-肩甲骨が下がる
④肩ではなく肩甲骨の根元で-肩甲骨を下げる
⑤肩甲骨周りの筋肉のバランスが崩れて-肩甲骨が下がらない
①②は同系列、④の肩甲骨の根元の位置が微妙ですが肩甲骨の三角形の意識が出来るなら③と同系列かと思われます。⑤は筋肉のバランスが崩れている原因を探す必要があるので一般的ではないでしょう。
とりあえず⑤からいきます。
概して極端な左右差を持っていらっしゃる方は肩甲骨の周りのバランスも崩れてると考えていいと思います。極端な左右差とは?
例えば-仰向けで寝たとき爪先の向きが極端に違う、視力が左右極端に違う、首の左右の向き易さが極端に違う・・・
でもそれらは左右差です。肩甲骨を下げる。それは前後の関係なのです。ですから・・・左右差が前後差にまで影響するような極端な左右差でない限り、問題とはなりません。
⑤は、体の極端な左右差から体が捻れ、前後のバランスが崩れて-肩甲骨が下がらない と読み替えます。ですから一般的ではないと考えます。
続いて③④を先に行きます。
③脇を締めて小指に力が入るようにする・・・。その通りだと思うのですが、難しくないですか?コレ!これが出来れば肩甲骨で悩むことは無いでしょう、きっと。
肩甲骨で悩む方は大抵、前肩の方です。そういう方にはこの”脇を締めて小指に力が入る”は感覚として難しい。。。でもそういう方にこそ体感していただきたいので・・・例えば
正座から軽い握りこぶしで肘曲げて脇を開く
↓
握りこぶしをフワッと緩めます
↓
親指と人差指を直角に伸ばし続けながら(インチキなチョキ?みたいな手です)
↓
手のひら上に向けながら~ゆっくり脇を閉じます
いかがでしょう?
親指人差指を直角に引っ張り続けながら、手のひら上に向けながら、脇を閉じていくと
中指→薬指→小指と力が移っていく(指が順番に伸びていく)のが感じていただけるでしょうか?正座の方が小指まで力が移動しやすいので、ぜひ正座でお願いします。
右手か左手、どちらか一方だけでも感じられればその感覚を育てていかれるといいと思います。感じられない側は、肩甲骨が浮いている等の原因で腰とのつながりがない側です。指の力は抜いているのに指に力が入る感じ。。。この力、全身に使いたいですよね。
そうです、そうなると体は勝手に引き上がるんです。次回説明しますがこの小指全体に力がみなぎる”充実感”これだけ覚えておいてください。
④の肩甲骨の根元で-肩甲骨を下げるというのも、小指に力が入れば肩甲骨の三角形を認識できるので④もできるはず。③と同じ分類とさせていただきました。
最後に①②です。
特に①が悩ましいので②から行きます。
首と背骨を引き下げる⇒肩甲骨が下がる。
これは前回の真っ直ぐ腰を造る工程です。それは・・・
”骨盤を後傾させることで背骨の引き合いが出来て引き上がる”というものでした。
前回の図で確認して頂ければ一目瞭然なのですが。
骨盤を後傾させると恥骨が前に出ます。そうすると連動して顔が前に出てきます。
前に出た頭の重さにバランスして肩甲骨は後ろに行きます。
その時に肩甲骨が寄りながら下がるのです。
ついでに・・・この時の肩甲骨の寄り方は上滑りして寄ってきます。つまり、腰とはつながってない肩甲骨です。そうなると先程小指に感じたような”力の充実感”が使えないのでアームスは、首周りの筋肉でやらざるを得なくなります。
例えばピルエットの首とか絶対につけられません。だって、アームスを支えるために首の筋肉はガチガチなんですから。
②は真っ直ぐ腰を造る際の前首と連動して、肩甲骨が後ろに行くので下がる。
二本足で立つための重量バランスです、単純に。
肩甲骨が下がるのはなぜ?
と思われるかもしれませんが、肩甲骨は寄ると下がる・開くと上がるという軌道があります。実際は傾くという要素が加わるので複雑にはなるんですが・・・
そうそう、ここで見解が分かれる”肩甲骨は近づけるか?離すか?”をいきます。。
突然ですが、一番奇麗なアラベスクを想像してみてください。どんな背中でしょう?
-締まってますよね、背骨なんか収まって左右の筋肉がはっきりしてますよね!
肩甲骨は寄ってるんです。肩甲骨開くと背骨が出てきて背中がのっぺりするんです。
体と力の構造上、そうなります。
ではなぜ?肩甲骨開いて!という注意が聞かれるんでしょう?
腕が短く見えるからです。なぜ?腕が短く見えるんでしょう?
前首で肩甲骨が後ろに行ってるからです。
前首の前後バランスとして肩甲骨が後ろに行って寄ってるので腕が短く見えるんです。
「肩甲骨開いて!」といいたくなりますよね。でもその姿勢から肩甲骨を開こうとすると体は壊れます。ですから「肩甲骨を開いて!」と注意されなくなる必要があるんです。
そのためには前首をやめる=真っ直ぐ腰をやめる、です。
そして”S字に入る”といきたいのですが、ここは難しいんです。
一つ一つの背骨が働く(ける)ことで初めて背骨はS字状になっていくのですから。そして、一つ一つの背骨の働きは内蔵の働きと直結していますので、内蔵の働きが悪いとS字を邪魔してきます。最低、この邪魔をする椎骨だけは何とかしないといけません。
例えば本当に具合が悪い時は前かがみになって、さらに右に傾いたり左に傾いたりしますよね。伸ばせないですよ、そんな時って。。背骨はといいますと”C”の字状です。
とりもなおさず真っ直ぐ腰は背骨全体で見ると、Cの字状なんですね、。。つまり自ら調子の悪い体へと向かわせてしまうんです。悲しいですね、なんか。
体は今一番動きやすい姿勢を作ってくれます。が、踊りたいご主人の思い通りの無理な姿勢をとらされて、そのために体はあちこち犠牲にしてそれに従います。、挙句に犠牲になって固まってる場所を「ストレッチが必要だ」と思われて無理やり引き伸ばされて。。。そこが固まってるおかげで動けていた場所全部に不具合が出る・・・そんな悪循環で体を壊していく・・・これは私の場合なのですが体の立場に立つと、せつないです。
だから体には”ありがとう”が必要だと思うんです、体と対話しながらいかないとね。
①はぁ?
①は次回です。。ん、理由?・・・先ほども述べさせていただきましたとおり、悩ましいからです。というより”反重力としての引き上げ”と絡めた方がいいような気がしますので、、、では、次回もよろしくお願いします。