バレエでもジャズダンスでも・・よく耳にする”体の「引上げ」”
では、それやったら何がどうなるのでしょう?
結論から言うと、ルルベアップで脚立のようにピタッと静止できるなら「引上げ」が出来てると思います。
ふくらはぎの力でやろうとするとプルプル震えてきますから、ピタッとはいかないです。プルプル震えるのは、小指側に逃げる力を拇指側に引き戻す”筋肉の証明”といったところでしょうか?
バレエの回でも、ヒップホップ(ダウンステップ)の回でも「耳の位置を体側の線に持ってきて・・・」というのが出てきましたが、これが上半身の「引上げ」のイメージです。
(下半身の「引上げ」もありますが、それは後述します)
以前の文中では「意識して!」という書き方に留まっていたのですが、その部分を少し掘り下げてみます。
「意識して」ということは「無理矢理その位置に入れて!」ということではありません。「力みのない立ち姿」のための作業なので、無理矢理やろうとすると首にだけ力が入り「力んだ立ち姿」になってしまいます。当然力んでいては動けませんから、次に何かやろうとするとすぐに元の姿に戻ってしまいます。
・・・では、「意識して!」の”意識”を図解してみます。
耳の位置を体側ラインへ持っていくように上向きます。
喉と肋骨前面が引っ張りあげて一つの線で(皮がのびて?)つながるような感じがあります。
肋骨の下部も引き上げられて腰も引っ張られて腰が入って来そうな感覚があると思います。
そこから耳の位置を支点にして上向きの顔を戻していきます。この時耳は高い位置をキープ。引き上がった肋骨上部を更に顎下に引き込んでいくような感覚です。
連動して肋骨下部が引き込まれてへその裏辺りの背骨と・・・腰と背骨の付根あたりが・・・入ってきて骨盤が前傾する感じがでてきます。
この→の力は連動してほぼ同時に動いてきます。これは意識していないと感じられないのですが、意識しているのに感じられないところも出てきます。
この意識していても感じられないところ、痛みがあるのでとばしてしまうところ・・・
など、動きの連動が感じられないところが引っ掛かりです。
まずは、とばしてしまうところを感じて、そこを集中的に小さく動いてみましょう。
少しずつ動きの連動を感じられるようになってきます。
そして体の連動を飛ばしてしまう方の動きは早いのが特徴です。
それは、ゆっくり一定速度で動くということが出来なくなっている証です。
ゆっくり一定の力と一定の速度で動いていって、引っ掛かりを感じてみる。
それが解ったらその引っ掛かりを小さく動かしてみる。
一度感覚をつかむとあとはドンドン動きを取り戻していけるようになります。
でも、かなり地味なんですよねコレ。
要するに体の連動がないと引き上がってこない!ていうことです。
ここでもう一つポイントがあります。
この時の下肢はどうなっていますか?
体はつながってますから、上半身に変化があれば下半身も連動して変化します。つまり下半身の「引上げ」です。
腰の付け根あたりの背骨が連動して中に入ってくれば・・・つま先に重心が乗ってきます。そうでなければ踵に重心が残ってしまいます。膝が伸びて拇指球に重心が絞り込まれていく感じがあればよくつながった体だと言えます。(みぞおちが締まって内腿に力が入って拇指球と下部肋骨がつながる感じです=”みぞおちから足”といわれる感覚です)
逆に、踵に重心が残っていたら(むしろそのほうが多いのですが・・)下半身の「引上げ」が出来てないということです。
ここで①と③を比べてみると体側の線の前後で体の占める面積が変わっているのがお解りいただけると思います。
この差が 親指重心・踵~小指重心 の差として表れてきます。
つまり、引き上がってくると、つま先重心になってきます。
(この③図では腰がもう少し入ってきて欲しいので下半身の引き上げはできていないこと
になる・・・のですが、腰の下がった体からの引上げはこの辺が限界です)
そして下半身の「引上げ」が出来ていな人は、見た目に判ります。
上図③を見てください。肋骨の下が浮いてます。腰の下がった体(背骨のアーチがない)のまま引上げようとするとこうなります。
これは ”肋骨が開いてる” ”反っくり返ってる” の状態です。
次回は、その話を。